樹脂の劣化構造解析

合成樹脂は金属や無機材料にない特徴を有し、今日の工業製品にはなくてはならないものとなっています。合成樹脂の最大の欠点は、環境や薬品等による劣化を受けやすいことであり、劣化の理解は必要不可欠です。ところが、従来の方法で僅かな劣化に起因する構造の違いを見分けることは困難でした。そこで今回、固体高分解能NMR測定により、ポリイミド樹脂の劣化初期の構造変化を明らかにすることを目的としました。今回の一連の測定で、13C-CPMAS 測定において、アルカリ劣化品でイミド基が開裂していることを示唆するスペクトルの変化を確認することができました。また、熱劣化品でも初期品とはスペクトルが変化することを確認できました。

固体NMRでは前処理をすることなく、様々な劣化状態の構造解析を行うことができます。他にも複数の樹脂関連材料の劣化NMR測定・解析の経験があります。

共用事業での成果

15-500-053
ポリイミド系樹脂の劣化構造解析
古河電気工業株式会社 研究開発本部 先端技術研究所 解析技術センター